三歳児神話
子どもが小さいうちは、特に3歳までは母親が子どものそばにいて、育児をすることが子どもにとって一番望ましい、という考えが信じられてきたことをいいます。
「3歳未満の発達初期に精神的な障害を受けた子は生涯その傷を癒せず、後々まで社会的不適応行動を形成する」という報告書を、ボウルビィ(イギリス、精神科医)がWHOに提出したことで広く知られています(1952年)。このボウルビィの母子関係論は母親の就労を否定したり、家庭での育児か社会的な保育か、二者択一の単純な理論ではないのに、恣意的に広まっていきました。のちにボウルビィは自説を撤回しています。
人間形成には幼少期の母子密着型愛情が絶対であり、母親の愛情より勝るものはない、といわれたのは高度経済成長以降のことです。これは「三つ子の魂百まで」という諺が、「三歳」と語呂が掛合わさり誤った解釈となって広まりました。
それ以前の子育ては、村落共同体や、大家族の中で自然に営まれていました。高度経済成長期に入り、「企業戦士と銃後の妻」といわれる性別役割が固定化する社会制度となりました。女性たちは子どもの誕生とともにこの神話により、実際にこの神話を助長させることになりました。
この三歳児神話に対して、1998年版『厚生白書』は合理的根拠がないと断言しています。幼少期に母親が働いている場合とそうでない場合において、子に与える影響(乳幼児期の発達状況、児童期の認知発達、社会性、行動上の問題点、学業成績など)については、三歳児神話の根拠を明示できるような因果関係がありませんでした。
資料:
(2005年9月追補)
