破綻主義
結婚生活が破綻した夫婦関係において、夫婦のどちらに離婚原因があるかに関係なく、夫婦関係の回復に見込みのない結婚は離婚を認めるべきだ、と破綻に重点を置く考え方をいいます。
これまで民法の裁判上の離婚では、離婚原因を作った有責配偶者(例えば、愛人を作った夫)からの離婚請求は一切認めないという「有責主義」でした。ところが別居期間が相当の長期間にわたり、夫婦関係が実質的に破綻していると認められる場合には、一定の条件付きながら、仮に有責配偶者からの離婚請求であっても認めるという判決が下りました(最高裁大法廷判決昭和62.9.2)。この判決以降、流れは有責主義から破綻主義へと変化しています。
最近では、高裁で別居期間が8年、地裁で別居期間5年以下の判例もあります。ただし、離婚裁判は個々の事案ごとに同居期間との対比を含めて総合的に判断されます。「有責配偶者の離婚請求」を全面的に認めるのではなく、未成熟な子がいないこと、相手方が精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態に置かれないことなどを条件としています。
法務省は民法改正案の中に「5年以上の共同生活の不存在」を盛り込む検討をしています。
しかし今日働く女性が増えたとはいえ、結婚や出産で一時退職した女性の再就職は簡単ではありません。また、男女の賃金格差・厳しい雇用環境などを考えると、破綻主義を採用するには離婚に関連する制度の整備や充実が不可欠です。フランスでは「扶養定期金」といって、経済的に弱者となる配偶者への離婚後給付の制度を設けています。日本の離婚裁判もだんだんと欧米のように「破綻主義」へと移行しつつあり、それと同時に社会保障制度の拡充が必要です。
