性同一性障害 Gender identity disorder
1996年、埼玉医科大学倫理委員会が発表した答申によると、
「男(女)の肉体を持ちながらも本来の自分は女(男)であって、男(女)に生まれてきたのは何かの間違いだと確信し、日常生活においても女(男)の恰好をしたり、女(男)の性別役割を実行する。さらに、本物の女(男)になりたいという性転換願望を持ち、ホルモン投与や性転換までも行おうとする場合もある」。
つまり、肉体の性と自己が認識する性の不一致が起こることを、性同一性障害といいます。
それを受けて日本精神神経学会はガイドラインを作成しました。1964年に性別再判定(性転換)手術を行った産婦人科医が、優性保護法違反で罰せられたこと(ブルーボーイ事件)から医学界ではためらいがありましたが、公式には現在(2002年7月)までに16例の外科手術が行われています。
しかし、戸籍の性別記載の訂正が許可されることは非常に稀です。そのため社会生活では、さまざまな偏見・無理解による差別が起きていて、性同一性障害者にとって生き難いのが現状です。雇用の場で差別された事例のほか、パスポート、免許証などで、性別の記載と外見が異なるのでトラブルが生じたり、生命保険加入、婚姻も困難です。
しかし、男女別のスポーツ競技においては、2002年、競艇協会において、女子選手から男子選手への変更が認められた事例があります。
また、性同一性障害は、初期のガイドラインではインターセックス(半陰陽)ではないことが条件にあげられていました。しかし生物学的な性(sex)は、性染色体、性腺、内性器、外性器によって決定されますが、それぞれの判定が違う性あるいは両方の性を示していることもあり、男女の判別が不可能な場合があります。インターセックスはわが国では約2,000人に1人と推定されているように、男女の性の境界線というものは、もともと極めて不明瞭だということを示しています。
追記:
2004年7月16日、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行されました。社会的に受け入れられるようになり、戸籍の性別変更が認められる事例が増えています。
